お代官と越後屋日記 16第16話 新人登場営業支援担当の派遣社員、元松は お代官尾田川のたび重なる理不尽とも取れる行動に 嫌気がさし「アホとは仕事ができん!」との 捨て台詞を残し辞めていった。 代わりにやってきたのが岡島であった。 東京の外資系会社で仕事をしていたのだが 結婚後、旦那の転勤でやむなく高松に移り住むことになったため 派遣会社を通して四国藩にやってきたのだ。 越後屋にとって彼女の採用は初の面接の成果であった。 セクハラ大魔王である彼にとって 採用の基準は当然ながら顔であった。 岡島は女性も認める超美人系で しかも長らく東京暮らしをしていたので 垢抜けており越後屋の好みであった。 岡島は面接中に越後屋の視線がただならぬのを 感じてはいたが、四国藩は超有名大手1兆円企業である。 まさか担当者の好みだけで採用されるとは思っていなかったが、実際はそのまさかである越後屋の好みだけで決定されたのである。 こんな奴に面接されて採用されても嬉しくない。 岡島は出勤初日からその能力を遺憾なく発揮した。 朝の朝礼で紹介され席に着いたその2分後にはかかってきた電話の応対を難なくこなし、1時間後には彼女に与えられた業務の全体像を把握した。2日目には1,2年のキャリアを持つかのような仕事ぶりであった。 まわりの藩士達もさすが元外資系!と訳のわからない感嘆の声をあげ 『彼女ならお代官や越後屋に対抗できるかも知れない』 と思った。 一人大北だけが『この子もいつまで続くやら・・』とうつむいていた。 大北のこの予感は2ヶ月後見事に的中するのである。 「こんなアホな上司見たこと無い。中小企業のオヤジでももっとマシです。」 そう言い残して岡島は辞めていった。 |